骨系統疾患の原因遺伝子の同定とその変異の解析、及びそれに基づく骨系統疾患の分子病態の解析、遺伝子レベルでの診断法の開発、遺伝子診断システムの構築を目的として研究を行ない、以下の成果を得た。 1) Desbuquois骨異形成症(DBQD)は高度の低身長、多発性関節脱臼、特徴的な顔貌異常、手指の変形等を特徴とする骨系統疾患であり、DBQD type I、 type IIおよびKim variantの3つの臨床的サブタイプが報告されている。DBQD type Iの原因遺伝子としてCANT1が報告されていたが、我々はtype IIおよびKim variantの症例にもCANT1遺伝子変異を同定し、CAMT1はDBQD3タイプすべての原因遺伝子であることを明らかにした。更にCANT1酵素活性の簡便なスクリーニング系を構築し、DBQD症例に同定されたCANT1ミスセンス変異はすべて機能消失を引き起こすことを証明した。 2) TRPV4はKozlowski型脊椎骨幹端異形成症、変容性骨異形成症の原因遺伝子である。両疾患症例のゲノムを用い、大規模なTRPV4遺伝子変異のスクリーニングを実施した。その結果、42症例中41症例に変異を同定し、両疾患の原因となるTRPV4遺伝子変異のホットスポットを同定した。更に我々は、TRPV4はMeroteaux型脊椎骨端異形成症、parastremmatic dysplasiaの原因遺伝子でもあることも明らかにした。 3) 新型Ehlers-Danlos症候群の原因遺伝子としてCHST14を、microphthalmia with limb anomaliesの原因遺伝子としてSMOC1を同定した。
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