我々は特に、miRNAに対するマイクロアレイによって組織特異的に発現するmiRNAを絞り込み、従来困難であったmiRNAに対するホールマウントin situハイブリダイゼーション法を可能にすることで、miR140が軟骨特異的に発現することを見出した。本年においては、この発現パターンが転写因子Sox9と一致することに注目、Sox9の下流遺伝子である可能性を検討した。まず、Sox9がmiR140の発現に必須であることを、Prx-CreおよびCol2-CreトランスジェニックマウスとSox9コンディショナルマウスのかけ合わせによる、軟骨分化前、後それぞれでのSox9欠損によってmiR140が欠失することによって明らかにした。また、Sox9コンディショナルマウス成体からえた初代軟骨培養細胞にアデノウイルスでCreを導入したところ、Sox9の欠失と同時にmiR140が減少することにより、成体軟骨におけるmiR140においてもSox9が重要であることが明らかとなった。逆に、Sox9の過剰発現によってmiR140の産生は促進された。さらに、Sox9がmiR140を直接制御することをプロモータアッセイ、ゲルシフトアッセイ、クロマティン免疫沈降アッセイなどを用いて証明した。また、miR140ノックアウトマウスのラインを確立し、現在も組織解析を進めている。これら一連の研究は、新しい軟骨分化メカニズムの解明につながると考える。
|