研究課題/領域番号 |
20390410
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
福井 尚志 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 病態総合研究部, 研究部長 (10251258)
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研究分担者 |
鈴木 隆二 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 診断・治療研究室, 室長 (70373470)
三富 弘之 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 病態総合研究部, 研究員 (90181940)
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キーワード | 変形性関節症 / マイクロアレイ / 関節液 / 滑膜 / 関節軟骨 |
研究概要 |
平成21年度に引き続き、本年度もヒト検体を用いた解析を進めた。 (1) 前年度の解析によってヒトのOA膝から採取した関節液においてMMP-1、2、3の濃度はII型コラーゲン、アグリカンの変性産物の濃度と有意に相関することが明らかになり、これらのMMPがOAにおける軟骨変性に有意に関与している可能性が示された。本年はこれらのMMPがどの組織で産生されて関節液中に放出されるのかを明らかにする目的でOA膝から採取した軟骨、滑膜組織を用いて遺伝子発現の解析を行った。この結果、OAに伴って関節液中に現れるMMP-1、2、3は滑膜において産生されると考えてほぼ間違いないことが示された。さらにOA関節から滑膜組織を採取して酵素消化により細胞を単離してmagnetic beadsによるソーティングを行ったところ、これら3種のMMPのうち少なくともMMP-1と3は滑膜中のCD14陰性細胞が主に産生していることが明らかとなった。 (2) 関節液中のMMP-1、2、3が軟骨の変性に実際に関与しているかを検証するためにウシ軟骨組織とOA症例から採取した関節液をincubateし、それによって軟骨の変性産物の濃度がどのように変化したかを検討した。この結果、関節液を無処理でウシ軟骨組織とincubateした場合には軟骨組織の変性があまり生じないこと、しかし関節液中のMMPを有機水銀によって活性化したうえで軟骨組織とincubateすると、II型コラーゲンの変性産物(CIINE)の濃度が著しく上昇することを見出した。CIINEはMMP-1などのcollagenaseによって産生されるので、この結果は関節液にMMP-1が不活性型として存在していること、しかしこのMMP-1が活性化されると実際にII型コラーゲンを変性しうることを示すものである。
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