研究概要 |
1. 動物実験 本年度も引き続き,自由行動下のラットの腰部交感神経にステンレス電極を留置し,慢性神経損傷後に1ヶ月程度の連続記録を行い、慢性痛病期によって交感神経の安静時活動に変化があるか、気象要素変動に対する反応性に変化があるかを調べた。神経障害性疼痛モデルとして,坐骨神経の絞扼モデルを作製した.病初期には一過性に交感神経活動が増加するが,その変化は長続きせずに,1週間後には手術前の値に戻ってしまうことが明らかとなった.また,慢性痛モデル動物に見られる低気圧暴露による痛覚過敏の増強現象に,前庭神経系のみならず三叉神経系の存在する気圧センシング機構が重要であることを明らかにした.さらに,繰り返し強制水泳によって作製した抑うつモデルラットにみられるうつ様行動の発生と維持が低気圧環境下で増強することを明らかにした. 2. 臨床実験 本年度は,気圧低下に敏感な慢性痛患者,気分障害患者を十分な同意を得て被験者とし,高気圧暴露が疼痛スコアと生理機能に与える影響を観察した.高気圧暴露前後に疼痛VASスコア,マクギル簡易疼痛スコア,PainVisionの痛み度数を測定し,比較した.また,高気圧チャンバー内で被験者から心拍数,簡易脳波を測定した。心電図R-R間隔変動のパワースペクトラムの変化は時系列データ解析プログラムで解析した。高気圧曝露により得られたパラメータの変化量を慢性痛あるいは気分障害,あるいはその両方を持つ患者と健常者間で比較した.
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