研究課題
眼窩下神経絞扼モデルを確立し、その疼痛に関し行動学的評価を行った。また、マイクロRNAを含む全RNAの回収の技術を確立し、マイクロRNAアレーを施行した。マイクロRNAは少しのことで大きく動く分子と考えられ、三叉神経節のサンプルに関してのデータの解析は、合目的な結果が得られたが、脊髄サンプルに関してはコントロールサンプルのデータのばらつきが大きく、予想より難航し、アレーの再検討を行った。その結果、マイクロRNAのうち約20種類程度の候補が見出され、それぞれについての定量評価が進行中であり、今年度中に解析終了予定である。また、同じサンプルでcDNAアレーを行った。cDNAアレーに関してはデータについては大変うまくアレーが行えたが、その解釈についてはデータの量が多く、難渋した。マイクロRNAは近年の研究の進歩でmRNAの発現に直接影響を与えなくても蛋白レベルの翻訳の段階で影響を及ぼすことが多いと言う考えが出てきたため、cDNAアレーの結果の発現の有無とは無関係にマイクロRNAの定量結果に基づき今後の方針の根本となるデータを取得することとする。また、脊髄サンプルの結果と三叉神経節の結果は別の実験系をして異なるターゲットを持つ可能性が見出された。よって、脊髄をターゲットとする場合はより近くに投与することにより効果を確かめたいと考え、脊髄へ薬剤を投与するルートの確立も本年度に行った。来年度以降は、発現解析によるデータのみならず、データベースを用いた情報分析の結果も踏まえターゲットを絞り込み、その機能解析の段階に進む予定である。また、再来年度の動物モデルへの応用を視野に取り組む予定である。