研究概要 |
雄性SDラットにパクリタキセル2mg/kgを隔日投与し化学療法誘起末梢神経障害モデルを作成した.対照ラットには溶媒のみ投与した 1.行動学的評価 パクリタキセル投与終了8日目に冷覚アロディニアを呈し,投与終了27日目には回復した,Von Freyフィラメントによる機械刺激性痛覚過敏はパクリタキセル投与終了8日目に発現し,投与終了27日目にも持続していた.熱性痛覚は出現しなかった. 2.TRPM8の後根神経節での発現変化 冷感受容体であるTRPM8の後根神経節での発現変化を免疫組織化学的に検討した.正常マウス後根神経節ではTRPM8は小型細胞に発現し,痛覚受容体であるTRPV1との共存はほとんど認められなかった.パクリタキセル投与終了8日目にはTRPM8陽性小型細胞の数が増加し,一部の細胞でTRPV1との共存が認められた.一方で,TRPV1陽性細胞数は変化なかった.また,TRPM8発現細胞数の推移は冷覚アロディアの時間経過と一致したが,機械刺激性痛覚過敏発現の時間経過とは一致しなかった. 3.メンソール足底投与の反応性 パクリタキセル投与ラットと対照ラットの足底皮膚にTRPM8作動薬であるメンソールを塗布し行動学的評価を行った.対照ラットではメンソール塗布により行動学的異常は認められなかったが,パクリタキセル投与ラットではメンソール塗布により自発痛関連行動が認められた.以上により,パクリタキセル誘起末梢神経障害においてTRPM8活性化が関与していることが示唆された.
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