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2010 年度 実績報告書

悪性腫瘍化学療法による神経因性疼痛の神経科学基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20390418
研究機関札幌医科大学

研究代表者

並木 昭義  札幌医科大学, 名誉教授 (00136954)

研究分担者 川股 知之  信州大学, 医学部, 准教授 (80336388)
新山 幸俊  札幌医科大学, 医学部, 講師 (90423764)
澤田 敦史  札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10551492)
キーワード悪性腫瘍 / 疼痛 / 化学療法 / L-serine
研究概要

化学療法に伴う末梢神経障害は有効な治療法が確立しておらず,用量規制因子の一つとなっており,化学療法の減量や中止の原因となることも少なくない.また,近年,非必須アミノ酸であるL-serineは神経細胞の成長・生存に不可欠な物質であることが報告されている.そこで,抗がん剤パクリタキセルによる誘起末梢神経障害動物モデルを用いて,抗がん剤による末梢神経障害発現機序におけるL-serineの関与およびL-serine投与による末梢神経障害の改善について研究を行った
雄性SDラットにパクリタキセル2mg/kgを隔日投与し,化学療法誘起末梢神経障害モデルを作成した.投与前,投与後1週間間隔で投与開始6週後まで行動学的評価,神経伝導速度の測定,およびHPLCシステムを用いて後根神経節(dorsal root ganglion;DRG)・脊髄・坐骨神経におけるL-serineの含有量を測定した.また,DRGにおいてはL-serineの合成酵素である3-phosphoglycerate dehydrogenase (3PGDH)の発現もウエスタンブロット法を用いて測定した
パクリタキセル投与により痛覚刺激に対する閾値の低下および神経伝導速度の低下が認められた.また,DRGではL-serine含有量の低下が観察されたが,脊髄,末梢神経軸策ではL-serine含有量の低下は認められなかった.DRGにおいてはL-serine含有量低下に先立って3PGDH発現も低下することが明らかとなった.そこでパクリタキセルと同時にL-serineを投与したところ0.1mmol/kgの投与で末梢神経障害の発症を抑制した.DRGは他の神経組織の血液脳関門や血液神経関門と違い,血液バリアが脆弱であり,また,3PGDHはグリア細胞に局在していることから,パクリタキセルによる神経障害はDRGのグリア細胞の障害により発症すると推測された
以上の結果よりパクリタキセルによる末梢神経障害はDRGでのL-serineの産生低下が原因となっており,L-serineの投与によりその発症を予防することが可能であった

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Role of satellite cell-derived L-serine in dorsal root ganglion in paclitaxel-induced painful peripheral neuropathy.2011

    • 著者名/発表者名
      Kiya T, Kawamarta T, Namiki A, et.al.
    • 雑誌名

      Neuroscience

      巻: 174 ページ: 190-9

    • 査読あり
  • [学会発表] Role of satellite cell-derived L-serine in dorsal root ganglion in paclitaxel-induced painful peripheral neuropathy.2010

    • 著者名/発表者名
      Kiya T, Kawamarta T, Yamakage M
    • 学会等名
      The annual meeting of American Society of Anest hesiologists.
    • 発表場所
      San Diego, USA
    • 年月日
      20101016-20101020

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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