研究課題/領域番号 |
20390423
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
武田 正之 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (80197318)
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研究分担者 |
荒木 勇雄 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (50252424)
望月 勉 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (50377496)
澤田 智史 山梨大学, 医学部附属病院, 診療助教 (70402055)
芳山 充晴 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (20422694)
富永 真琴 山梨大学, 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設), 教授 (90260041)
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キーワード | TRPV4 / メカノセンサー / イオンチャネル / 過活動膀胱 / ATP / 求心性伝達機構 / 尿路上皮 |
研究概要 |
【方法】(1)膀胱上皮細胞の初代培養細胞を作製し、これらの細胞からからm-RNAを抽出し、各種TRPチャネル遺伝子の発現をRT-PCR法を用いて確認した。(2)マウス膀胱全層標本に対しTRPV4抗体を用いた免疫組織染色を行い、その局在について調べた。また、膀胱上皮初代培養細胞に対し膀胱上皮のマーカーであるCK7およびTRPV4抗体を用いた免疫染色を行った。(3)WTとTRPV4KOマウスの膀胱上皮培養細胞において、TRPV4の選択的アゴニストである4-αPDDを投与した際の細胞内カルシウム濃度の変化についてカルシウムイメージング法を用いて比較・検討した。(4)細胞を直接伸展させることができる装置を用いた実験系を確立させた。シリコンチャンバー上で膀胱上皮細胞を培養し、これに伸展刺激を加えた際の細胞のカルシウム応答を調べた。(5)さらに伸展刺激を与えた際の細胞からのATP放出についてフォトンイメージング装置を用いて調べた。 【結果】(1)膀胱上皮初代培養細胞において、他のTRPチャネルと比較し、TRPV4のm-RNAレベルでの発現がより強く認められ、さらにCK7の発現も確認した。(2)膀胱組織では上皮、特に基底部に局在するTRPV4のタンパク発現が認められた。これらはTRPV4KOマウスではみられなかった。また培養細胞におけるCK7は遺伝子レベル同様、タンパクレベルにおいても陽性で、上皮としての特性が維持されており、またWTマウスにおいてTRPV4タンパクの発現が確認された。(3)WTマウスでは視野内で約半分程度の細胞が4-αPDDに反応して細胞内カルシウム濃度の増加を示した。免疫染色法によって、これら応答細胞はTRPV4を発現しており、機能的発現についても確認できた。(4)機械伸展刺激に対して膀胱上皮培養細胞は細胞内カルシウム濃度の上昇を示し、TRPV4KOマウスではWTマウスに比較し、有意に減弱することが示された。さらにTRPチャネルのアンタゴニストであるRuthenium RedをWTマウス培養細胞に投与した際、TRPV4KOマウス培養細胞とほぼ同等の応答となることも実証した。(5)機械伸展刺激に対する膀胱上皮培養細胞からのATP放出はWTに比べTRPV4KOマウスでは有意に低下することが示された。
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