研究課題
ユビキチン-タンパク質分解機構の異常は多くの癌の発生・悪性化に関与している。Hrsはユビキチン化タンパクをライソソームへと輸送する分子であり、ESCRT輸送系の主要構成因子である。我々はHrs欠損細胞において刺激依存性レセプターのdown regulationの遷延化に起因した増殖因子シグナルの増強を見出した。Hrsはヒト癌組織において著明な発現増強が認められることから、ヒト悪性腫瘍においてHrsが何らかの作用を及ぼしている可能性が高い。 Hrsのノックアウトマウスは胎生致死であったことから、新規にHrsのコンディショナルノックアウト(Hrs-loxP-cko)マウスを作成した。本研究では、マウスに移植するためのマウス由来癌化細胞を樹立した。まずE13.5のMEFを定法に従って調整し、不死化を目的としてSV40 large T antigenを安定導入し、さらに癌化を目的としてH-Rasを安定導入した。得られた癌化MEF細胞(MEF-hrs^<f/f>-Ras/TAg)は野生型Hrsを正常に発現する癌細胞株であることを確認した。Hrs-loxPはCreによって排除される。そこで、エストロゲンレセプター(ER)融合Creを発現させる遺伝子(ER-Cre)をレトロウイルスベクターにより導入し、MEF-hrs^<f/f>-Ras/TAg::ER-Creを得た。この細胞は、タモキシフェン依存的にCreが核内へと誘導され、効率よくHrs-null細胞(MEF-hrs^<-/->)となることが確認できた。Hrs-null細胞は足場非依存的増殖能を獲得していた。今後さらに親細胞株との比較をin vitroで行うとともに、in vivoでの比較のため超免疫不全マウス(NOG)に移植して造腫瘍性、浸潤、転移能について比較を行う。
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