研究概要 |
羊膜細胞の幹細胞の同定と分離のためにsphere形成能を用いた幹細胞の分離を試みた。具体的には分離した羊膜上皮、間葉系細胞、臍帯間質細胞を超低付着培養ディッシュにて浮遊培養しsphereの形成条件を検討した。同時に三次元培養でありながら細胞接着刺激を与えないMebiol Gel内においてもsphere形成を試みた。更に形成されたsphereを回収後に分散させ、再度超低付着培養ディッシュにて浮遊培養し再びsphereを形成する自己複製能(self-renewal)があるか否かを検討した。その結果、自己複製能を有するsphereを回収でき、幹細胞マーカーのNanog, Oct3/4, SSEA4の遺伝子発現をRT-PCRまたはウェスタンブロット法、免疫組織染色にて検討した結果、いずれの遺伝子も発現していることが明らかになった。またこれらの因子について、マウスのES細胞との発現強度を比較検討した結果、マウスES細胞と同等の発現強度が見られた。マトリジェル、乳酸-ポリエチレングリコール含有の合成高分子ポリマー上に、sphere由来細胞を播種し、肝、心筋、軟骨細胞への分化誘導をかけ、細胞種(羊膜上皮、間葉系細胞、臍帯間葉系細胞)による誘導を検討した結果、軟骨細胞、骨細胞、脂肪細胞などに分化誘導する可能性が明らかになった。また高密度で播種すると、自らfeederとなることでディッシュとの接着を回避させると浮遊培養と同じようなsphere形成が見られることから、高密度で播種し、sphere様のコロニーが形成されるか否かを検討した結果、上記のspheroidと同様にsphere形成が見られ、自己複製能が見られた。このように、羊膜細胞からにsphere形成能のある幹細胞が同定でき、幹細胞を分離できる可能性が示唆された。
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