研究課題
加工羊膜(乾燥羊膜)の臨床への応用のための以下の基礎研究を行った。i)乾燥羊膜を位相差電子顕微鏡を用いた接着斑などの構造解析、免疫組織染色法による解析により、開発乾燥羊膜の生物学的特性を検討した結果、乾燥羊膜の上皮面は組織との癒着抑制に働き、間質面は組織付着性がよく、また上皮面であってもスカフォールドとして働き、眼結膜の病変切除部に移植した乾燥羊膜上に結膜細胞が増殖被覆することが明らかになった。ii)乾燥羊膜の生物学的特性を生かしより適した疾患へのより良い使用法を模索した結果、翼状片除去後、緑内障における眼房水トンネル形成術等の眼表面再建術に臨床応用に適していた。従来の生羊膜に比べ非常に扱い易いので、皺が発生しにくい、適した大きさ・形状に容易にカットでき、手術時間の短縮、治療が困難なより大きな組織欠損部に対応可能となるなどの利点が明らかになった。iii)薬物徐放性機能を有するヒト乾燥羊膜治療デバイスの開発抗ウイルス剤(アシクロビル)をヒト乾燥羊膜に内包させたることによりヘルペス性角膜炎に効果を示す徐放剤パッチを作製し、薬物内包P(VLA-co-VAL)ミセルの羊膜への含浸方法の検討と徐放の最適化をはかった。その結果、ポリマーに包接されたアシクロビルは安定で、保存中沈殿等は観察されなかった。また、ポリマーによるアシクロビルの可溶化は可能であるが、3mg/mlが現状のポリマー濃度では上限となることが明らかになった。iV)薬物内包P(VLA-co-VAL)ミセルを含浸したヒト乾燥羊膜のヘルペス性角膜炎における治療効果を解析した。ヘルペス性角膜炎を惹起した家兎の眼角膜に新規治療デバイスを貼付し、角膜炎に対する治癒効果を既存の抗ウイルス剤軟膏塗布[ゾビラックス眼軟膏、一回塗布量2mg、力価0.06mg(ヒトの場合の1/20)を5回塗布]のケースと比較検討した結果、ゾビラックス眼軟膏と同程度の効果が見られた。
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