研究課題/領域番号 |
20390434
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤原 浩 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30252456)
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研究分担者 |
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
西 英一郎 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30362528)
西尾 健資 京都大学, 医学研究科, 助教 (70303790)
服部 明 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50300893)
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キーワード | 組織再構築 / 黄体形成 / 胎盤形成 / 胚着床 / 妊娠 |
研究概要 |
これまでの本研究により体循環に存在する免疫細胞、血小板および幹細胞によるヒト黄体形成の組織再構築機構と妊娠時の黄体維持機構、ヒト胚着床時の子宮内膜の分化誘導機構と胚の子宮内膜間質内埋没の誘導機構、さらにEVTの母体子宮内膜ラセン動脈の再構築機構の一端が明らかとなった。具体的にはまず、HCGによる内分泌系機構と循環免疫細胞がお互いに相互作用し、両システムのネットワークを介して母体-胚間の相互応答をおこなっていること、さらにこの新しい機序を応用して不妊症例に対する安全かつ有効な治療法として、本人の自己免疫細胞を用いた着床誘導法が臨床応用できること、またヒト黄体形成とラセン動脈の再構築に重要な役割を果たす血小板が脊髄神経再生などの組織再生医療へ応用できる可能性があること、さらにヒト胚の着床誘導へも使用できる可能性も示された。 これらの成果は、生殖臓器の組織再構築の制御に全身循環システムの主要な細胞成分である免疫細胞が関与していること、さらにそれぞれ全身循環システムの液性成分と細胞成分である内分泌系と免疫系のネットワークによる母体-胚間の相互応答の機構を新たに提言し、この概念に基づいて臨床応用の開発が進められている点で独創的である。中でも免疫細胞を用いた着床不全症例に対する治療法がすでに臨床応用されている点は本研究の実用性を端緒に示す特筆すべき成果と評価できる。 以上のように本研究は世界に先駆けた情報をもとに発想を展開して計画されたもので、学術的・臨床的に意義深い研究成果を得られることが期待される。
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