研究概要 |
本研究は細胞老化誘導シグナロソーム(Ras/MDM2/ERα/p21)の機能破綻にゲノム多様性がいかに関与し子宮体癌発生に至るか解明することを目的とした。さらに子宮体癌幹細胞を同定し生物学的特性を解明した。 1)MDM2 SNP309 G/T多型 子宮体癌患者125例及び福岡コホート研究参加者200例をそれぞれケース及びコントロールとした。p53,ERα,p21SNPsと子宮体癌の関連は認めなかった。しかしMDM2 SNP309G/Gは子宮体癌オッズ比の高まりをしめした(OR1.76,95%G1 0.93-3.30)。さらに309T/G,G/G多型はp53codou72 Arg/Argと遺伝子間相互作用を示し、有意な子宮体癌オッズ比の上昇を示した(OR2.53 95%/C 1.03-6.21)。 2)MDM2対立遺伝子間発現量差異(Allelic Expression Difference:AED) MDM2プロモータ領域内のSNPがその発現量に及ぼす影響について解析した。正常子宮内膜36例、子宮体癌組織38例についてMDM2 exon 1 SNP(rs937283,A/G)多型を用い、CDNAを増幅した。SSCP法により対立遺伝子間のAEDを定量した。ゲノムDNAをコントロールとした。正常子宮内膜、体癌、組織でのA/G検体はそれぞれ18,17例で、そのうち4例及び3例に顕著なAEDが認められた。 3)子宮体癌幹細胞の生物学的特性 子宮体癌細胞株からそれぞれSP,non SP細胞を採取し、増殖特性及び造腫瘍性について解析した。SP細胞はnon SP細胞に比し、高い増殖を示し未分化な腫瘍形成を示した。さらに腫瘍間質の形成に参加するというEMT表現型を示した。
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