研究課題/領域番号 |
20390440
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山岨 達也 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60251302)
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研究分担者 |
鈴木 光也 東京大学, 医学部・附属病院, 准教授 (50302724)
近藤 健二 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40334370)
坂本 幸士 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (50323548)
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キーワード | 老化 / 蝸牛 / 難聴 / ミトコンドリア / アポトーシス |
研究概要 |
研究は大きく、遺伝子改変マウスを用いた実験と、サプリメント等食餌療法の効果を調べる実験に分かれる。解析は1)ABRを用いた機能解析、2)光顕・免疫染色による組織観察、3)DNA microarray、Quantitative PCR法による遺伝子解析を行った。 まずビタミンC合成のできないSMP30/GNL欠失マウスを用い、ビタミンの欠乏が老人性難聴を進行させるか検討した。その結果、ビタミンCを与えないこのマウスでは蝸牛内、肝臓、血漿中のビタミンCが著明に低下し、ビタミンC投与群や野生型と比べて有意に老人性難聴が悪化し、ラセン神経節細胞も減少していた。 次にCatalaseの過剰発現マウスにおいて加齢によるABR閾値上昇がC57BL6マウスに比べて抑えられることを見出した。さらに17種の活性酸素除去効果のあるサプリのC57BL6マウスにおける老人性難聴進行抑制効果を調べ、そのうち3種類に効果のあることを見出した。これら老人性難聴の進行が抑制されたマウスの蝸牛ではBakの発現が有意に減少していた。 最後にBax欠失マウスでは加齢によるABR閾値上昇がC57BL6マウスと差がなく、Bak欠失マウスでは加齢によるABR閾値上昇がC57BL6マウスに比べて抑えられることを見出した。これらの結果から、蝸牛内に生じる活性酸素による慢性的障害からBakを介したアポトーシスが蝸牛内の細胞に生じ、老人性難聴が生じることが示唆された。
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