研究課題/領域番号 |
20390441
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤枝 重治 福井大学, 医学部, 教授 (30238539)
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研究分担者 |
野口 恵美子 筑波大学, 人間総合科学研究科, 講師 (40344882)
山田 武千代 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (70283182)
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キーワード | スギ花粉症 / 舌下免疫療法 / アポ蛋白A-IV / C4A / トランスサイレチン / Hepatocyte nuclear factor 4α / IL-17 / IL-33 |
研究概要 |
スギ花粉症患者に対して舌下免疫療法を行い、その治療前後、スギ花粉飛散前、ピーク時、飛散後において経年的に採血し保存しておいた血漿を用いてプロテーオム解析を行った。その結果舌下免疫療法施行患者において、肝細胞・小腸で産生されるアポ蛋白A-IV、C4A、トランスサイレチンが上昇した。プラセボ群ではこれらの蛋白は変動しなかった。これらのPathway解析を行うと、転写因子であるHepatocyte nuclear factor 4αが共通の上流因子であり、それぞれの蛋白発現を制御していた。スギ花粉症の症状とはアポ蛋白A-IVが相関しており、症状の程度とアポ蛋白A-IVの変動は、有意に正の相関を示していた。また人工的アポ蛋白A-IVを作成し、スギ花粉症患者末梢血から好塩基球を分離し、スギ抗原(Cryj1)とともに添加し、ヒスタミンの遊離率を測定すると、有意にヒスタミンの遊離率を抑制した。舌下免疫療法施行患者において、別途にin vitroヒスタミン遊離率を測定すると、実薬群でプラセボ群に対して有意に低下していた。以上のことから舌下免疫療法の効果発現にアポ蛋白A-IVが関連していることが判明した。 アレルギー性鼻炎は、本来Th2型の疾患であるとされていたが、最近は多くのサイトカインの関与も報告されている。IL-33は炎症性サイトカインの一つであるが、スギ花粉症患者、非アレルギー健康人、慢性副鼻腔炎患者の血清中IL-33を測定するとスギ花粉症患者において他の2群に比較して有意に高値を示した。またIL-17もアレルギー反応に重要なサイトカインであるが、舌下免疫療法施行年数を重ねるにつれて、治療効果の上がった患者において血清中IL-17が有意に低下していることが判明した。
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