研究課題/領域番号 |
20390450
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
坂本 泰二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10235179)
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研究分担者 |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
高尾 尊身 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (80171411)
小戝 健一郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90258418)
隅田 泰生 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70179282)
園田 康平 九州大学, 九州大学病院, 講師 (10294943)
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キーワード | 硝子体細胞 / SDF-1 / 硝子体免疫 / 薬物治療 / 超音波 |
研究概要 |
硝子体内の環境コントロールの実態を調べるためにin vitro実験、動物実験、臨床研究を行った。In vitro実験では、網膜剥離の時に産生されるHMGB-1,SDF-1が網膜色素上皮細胞ARPEや網膜細胞R28の細胞遊走を強めることを見出し、細胞内シグナルの点からもそれを支持するデータが得られた。硝子体疾患である、ラット増殖硝子体網膜症モデルにおいては、網膜剥離部に一致してHMGB-1,MPC-1,SDF-1が産生され、これらはアポトーシスよりもネクローシスに強く関連していることをつかんだ。一方SDF-1抗体を網膜下に注入することで、網膜剥離後の細胞死が著しく増加したが、HMGB-1には、特異的抗体を用いてもその作用は見られなかった。このことから、HMGB-1とSDF-1はともに網膜剥離時に剥離網膜から出されるが、その作用は大きく異なり、特にSDF-1は網膜保護作用があることが分かった。 そこで実際の臨床における変化を、網膜硝子体疾患手術時に得られた臨床検体において検索した。その結果、網膜剥離範囲とSDF-1は強い相関を示していたが、HMGB-1は関連がなかった。ただし、HMGB-1は感染性眼内炎などの組織破壊性疾患では濃度が極端に増加していた。HMGB-1のようなdamage-associated蛋白は従来組織環境維持に積極的に関与していないと思われていたが、組織破壊産物であっても眼内の環境維持に積極的に関与していることがわかった。現在は、これらが免疫系にどのように働くかについて検討する予定である。
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