研究分担者 |
山本 有平 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70271674)
古川 洋志 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00399924)
舟山 恵美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10533630)
林 利彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (00432146)
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研究概要 |
【目的】本研究では、メラノーマの重要な予後因子のひとつであるリンパ節転移成立に及ぼすメラノーマ細胞(MM)とリンパ管内皮細胞(LEC)の相互作用について検討する。平成20年度の研究結果から,LECが産生する液性因子がMMの遊走能を刺激している可能性が示唆された。今年度は、この液性因子の同定をすすめた。【方法】LECの培養上清(CM)を濃縮後,限外ろ過により液性因子の分子量を推定し,RT-PCRとウェスタンブロット法より,ラミニンを同定した。さらに,抗ラミニン1抗体による免疫沈降後のCMを用いて,遊走能の変化を観察した。また,ラミニンとともにMMの細胞表面で接着因子としてはたらくインテグリン,CD151の発現をフローサイトメトリーで観察し,それらの発現抑制によるMMの遊走能の変化についても調べた。【結果および考察】LEC-CMのケモタキシス活性は,分子量100kDa以上に認められ,該当する分子としてラミニン,ナイドジェンなどの細胞外マトリックス成分が考えられた。そこで,これらの成分に着目してLEC-CMに含まれるケモタキシス活性を検討した。ナイドジェンはLEC-CM中に存在していたが,LEC-CMからこれを除去しても,MMに対する遊走能は減少せず,ナイドジェンはケモタキシスの本体ではないと判断した。一方,ラミニンについては,RT-PCRとウエスタンブロット解析の結果から,LECはα4,α5,β1、β2、γ1のラミニン鎖を発現していた。さらに,抗ラミニン-1抗体処理LEC-CMは,MMに対するケモタキシス活性が失われていた。また,ラミニン結合性インテグリン,それと複合体を形成するCD151それぞれの発現をsiRNAを利用して抑制したMMのケモタキシスは有意に低下した。以上の結果から,MMはラミニン結合性インテグリンを介してLEC-CM中にあるラミニンに対してケモタキシスを示すと考えられた。
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