研究分担者 |
山本 有平 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70271674)
古川 洋志 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00399924)
舟山 恵美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10533630)
林 利彦 北海道大学, 病院, 助教 (00432146)
齋藤 亮 北海道大学, 病院, 医員 (70507574)
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研究概要 |
【目的】本研究では、メラノーマ(MM)の重要な予後因子のひとつであるリンパ節転移成立に及ぼすMM細胞とリンパ管内皮細胞(LEC)の相互作用について検討してきた。平成21年度の研究結果より,LECはα4,α5,β1、β2、γ1のラミニン鎖を発現しており,さらに,抗ラミニン-1抗体処理によりラミニンα4β2γ1複合体を除去したLEC培養上清(CM)は,MMに対するケモタキシス活性が失われていることが確認された。このことより,MMはLEC-CM中にあるラミニンα4β2γ1に対してケモタキシスを示すと考えられた。本年度はin vivoでのMMのケモタキシスにおけるラミニンの作用を検証すべく,MM検体の免疫組織化学的染色を行い,リンパ行性転移の有無とラミニンの発現の相関を調べる。【方法】2000年4月から2006年3月までに北海道大学病院形成外科で治療を行った田症例のうち、リンパ節転移のあった症例4例と、リンパ節転移のなかった4例それぞれの原発巣の免疫染色を行った。LECのマーカーには抗ヒトD2-40マウスモノクローナル抗体、ラミニンα4,β1、β2、γ1それぞれに対する抗体は、抗ヒトLAMAラビットモノクローナル抗体,抗ヒトLamininβ1ラットモノクローナル抗体、抗ヒトLAMB2ラビットモノクローデル抗体、抗ヒトLamininγ1ラットモノクローナル抗体を用いた。なお、ネガティブコントロールとして、色素性母斑症例4例にも同様の免疫染色を行った。【結果および考察】MM症例全例の原発巣で、抗D2-40抗体に染色されるリンパ管が存在し、リンパ節転移のあった4例全例の原発巣において、リンパ管にラミニンα4の発現が認められ、リンパ節転移のなかった4例の原発巣にはラミニンα4は認められなかった。ラミニンβ1、β2、γ1は、リンパ節転移の有無による差異は見られなかった。また、色素性母斑内には抗D2-40抗体に染色されるリンパ管の存在を確認できなかった。以上の結果より、MMのリンパ節転移には、ラミニン鎖のうち、特にα4が関与している可能性が示唆された。
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