研究課題/領域番号 |
20390456
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (80217421)
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研究分担者 |
田原 真也 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (60207206)
寺島 俊雄 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20101892)
藤里 俊哉 大阪工業大学, 工学研究科, 教授 (60270732)
橋川 和信 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (90403237)
榊原 俊介 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (50444592)
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キーワード | 人工神経 / 再生医学 / 再生医療 / 末梢神経再建 / 再建外科 |
研究概要 |
外傷や腫瘍切除で損傷された神経の再建には自家神経が多用されるが採取される神経の機能喪失は裂避けられない。また、理想的な口径と長さの神経を採取することは困難であることが多い。これらの諸問題を克服するために人工神経の開発が行われてきた。細胞外マトリクスが組織再生に重要な役割を果たすと考えられており、これらを模した化学合成物を用いた人工神経の開発が試みられている。一方、同種神経を化学処理して無細胞化したものを代替神経とする試みもなされている。われわれは、ラットの坐骨神経を界面活性剤を用いない方法で脱細胞化処理することに成功(特許出願中)し、その移植後の評価を行った。 脱細胞化には高張塩溶液を用いた。種々の濃度・種類の高張液により条件を探ったところ、電解質溶液を用いた場合に脱細胞化が行われることが明らかとなった。また、イオン価数を変化させたところ、最適な浸透圧を保つことで高い脱細胞化効率が得られた。 昨年度までの研究で、脱細胞化された組織を実際に実験動物に移植し、組織学的に検討を行ったところ、神経再生の足場としての役割を果たしており、実用化への見込みが高まった。本年度では、これらの脱細胞化組織を電子顕微鏡で観察を行った。特に走査型電子顕微鏡により得られた像では、細胞外マトリクスが温存されており、良好な細胞定着のスキャフォールドとなりえることが示された。 凍結融解法や界面活性剤処理法による脱細胞化神経の有用性がこれまでに報告されているが、不十分な脱細胞化や細胞外マトリクスの破壊といった欠点を持つ。われわれが作製した脱細胞化神経は、界面活性剤を用いないために軸索伸展に必須となる基底膜などの構造が比較的保存されていることが想定され、移植実験の結果からも有用なバイオマテリアルとなる可能性がある。
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