研究概要 |
1新潟県メディカルコントロール協議会の承認のもと、新潟県における成人の病院外心停止症例において、救急隊員により電気的除細動が施行された心室細動症例の自動体外式除細動器(AED)内に自動的に保存された心電図波形を集積した(最終的には3年間で170症例を集積)。 2 Viewerソフトで、各症例における除細動が成否を判断(判断基準は除細動施行後5秒以内に少なくとも同じ形状のQRSが2個認めた場合に成功例、これ以外は不成功例)、除細動施行直前2.5秒及び1秒間の心電図波形(心室細動波形)を選択、エクセルデータに変換した(最終的に除細動不成功171エピソードと除細動成功71エピソードに分類した)。 3除細動成否の指標として、時間領域指標(peak amplitude, mean-slope, median-slope)、周波数領域指標(peak frequency, median frequency, AMSA)、複雑解析指標(近似エントロピー,フラクタル次元,DFA)について、2.5秒または1.0秒の心室細動波形いずれが適切に判定出来るかを検討した。 4その結果、2.5秒または1.0秒の心室細動波形において上記3領域における計9指標は成否により異なることが判明した(すべてp<0.001)。 5次に、成否に関して、logistic解析を施行、有意な成否に関する指標は、時間領域においては、1.0秒心室細動波形におけるmean-slope、median-slope、周波数、周波数領域では、2.5秒心室細動波形におけるmedian frequency、AMSAが有意な指標となった(p<0.05)。 6以上から、時間領域及び周波数領域の指標が適切に除細動の成否を判定するには、それぞれ1.0秒、2.5秒の心室細動波形が適切であると結論した。また、複雑解析指標では2.5秒以上の心室細動波形が必要であると考えられる。
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