研究課題/領域番号 |
20390461
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
|
研究分担者 |
荒田 悟 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 准教授 (20159502)
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 助教 (20349062)
中町 智哉 昭和大学, 医学部, ポストドクター (30433840)
|
キーワード | PACAP / PAC-1R / IL-6 / 神経細胞死 / 神経再生 |
研究概要 |
本年度はPACAPおよびIL-6の遺伝子欠損マウスを用いて神経細胞死の分子基盤の解明を行った。PACAPおよびIL-6遺伝子欠損マウスでは野生型に比べて有意に神経細胞死が起きることが海馬領域で明らかになった。またPACAPは神経細胞を刺激して炎症性サイトカインの一つであるIL-6の産生を亢進させることが知られていることから、PACAPによるIL-6を介した神経細胞死制御機構の解析を行った。PACAPの脳室内投与あるいは浸透圧ポンプによる静脈内への持続投与後の血中および脳脊髄液中のIL-6蛋白質量をB9アッセイ系により定量し、さらに脳におけるIL-6遺伝子発現量をリアルタイムPCR法により定量したところ、PACAPはIL-6の遺伝子発現を亢進させ、脳脊髄液中への分泌を促進することが分かった。さらにIL-6KOマウスを用いて虚血実験を行ないテトラゾリウムクロライド(TTC)染色後に梗塞面積を定量化して野生型と比較したところ、PACAP KOマウスと野生型では梗塞面積が著名に増加したことからPACAPはIL-6を介して神経細胞死の誘導を行う可能性が示唆された。IL-6はErk、STAT3およびAktの3つのシグナル系を介してBcl-2を活性化させ、ミトコンドリアからのCytochrome Cの分泌を阻止し、その結果アポトーシスを誘導するCaspase3の不活性化を生じることから、IL-6KOおよび野生型マウスを用いてPACAP投与による細胞内質内へのCytochrome Cの分泌量およびミトコンドリア画分中のBcl-2発現量をウエスタンブロッティング法により解析した。PACAP KOマウスとIL-6KOマウスを用いて脳虚血後におけるリン酸化(p) Erk、pSTAT3およびpAktの発現量の変化を経時的にしらべた結果、PACAPとIL-6のシグナリングのクロストークの存在が明らかになった。
|