研究課題/領域番号 |
20390466
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂井 英隆 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80136499)
|
研究分担者 |
小林 家吉 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (40243951)
清島 保 九州大学, 歯学研究院, 講師 (20264054)
永田 健吾 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90189134)
|
キーワード | 歯胚 / 発生・再生 / cDNAサブトラクション / in situ hybridization / 免疫組織化学 / アンチセンス法 / 器官培養 / 歯原性幹細胞 |
研究概要 |
本科学研究補助金により平成23年度に以下の研究成果を得た。 1.cDNAサブトラクション法により検出した、胎生12日の下顎に高発現する遺伝子Adenosine triphosphate synthase subunita (Atpase6)の歯胚における発現様式を解析し、この遺伝子が歯胚の発生やエナメル質の形成に重要な役割を果たしている可能性を示し、論文に発表した。 2.Protogenin (Prtg)について機能的解析を行い、歯胚の発生に重要なシグナル受容体であり、歯原性幹細胞との関連が示唆された。またin situ hybridaization法による検索から,本遺伝子が神経堤由来の細胞に発現している事が解った。以上の結果について論文に発表した(highly accessed articleに選定された)。さらにPrtgを扁平上皮組織由来のHaCaT細胞に導入し、石灰化誘導培地で培養するとアリザニンレッドおよびコッサ染色陽性の石灰化物を形成した事から歯原性上皮細胞の誘導の可能性が示唆された。現在、in vitroにおける実験を継続中である。 3.cDNAサブトラクション法により検出した、胎生10.5日の下顎に高発現する遺伝子(遺伝子Xと仮称)をHaCaT細胞へ導入すると、歯の発生に重要な役割を果たすtypeII/III Runx2など、種々の歯原性因子を発現し、in vitroにおいてアリザニンレッドおよびコッサ染色陽性の石灰化物を形成し、元素分析によりCaとPが検出された。また、石灰化物の免疫染色では同部位にRunx2の発現がみられた。以上より遺伝子Xの強制発現によりHaCaT細胞が歯原性上皮細胞の性質を発現している可能性が示唆された。現在この細胞をヌードマウスの背部皮下に移植し、in vivoにおける石灰化物形成能について検討中である。データがそろい次第論文発表の予定である。また本研究の結果について九州大学知的財産本部と特許出願の可能性を協議中である。 4.thymosin beta 4 (Tb4)、について、Dmp-1、Dspp、amelogenin、ameloblastinなどの歯牙形成に係わる遺伝子の発現を制御している事や、これらの遺伝子の上流にあるRunx2やNucleolinの発現制御も担っている事、さらに上皮細胞の間葉への陥入に必須の基底膜の改造に関わるMatrix metaloproteinase-2/-9の発現も抑制している事を明らかにし、多元的なTb4の機能解析を行った。現在論文発表準備中である。
|