研究課題
MonadおよびMonad結合タンパク質MoBP1(RNAポリメラーゼ結合タンパク質:RPAP3)の細胞へ導入自体では細胞死を誘導しないが、細胞死刺激に対して促進的に作用することを解明してきた。本年度はこの細胞死刺激に関して、腫瘍壊死因子(TNF)、抗腫瘍薬(ドキソルビシン)、紫外線照射(UV)など、DNA二重鎖に障害を与えるものであればどのようなものでも細胞死誘導を促進すること、MonadよりもMoBP1がより直接的に作用することを明らかにした。また、蛍光タンパク質を融合させることにより、これらのタンパク質の細胞内局在を検討し、行動を共にしていることも解明した。さらに、我々はMonadに結合タンパク質にはMoBP1以外にReptinや低分子のMoBP2を見出しているが、これらの細胞死における機能の解明にも着手した。まず、Reptinはクロマチン・リモデリングに関与していることが知られているタンパク質であるが詳細は不明であった。今回、MobP1と共在すること、その機能を制御していることを明らかにしつつある。一方、MoBP2は我々が新規に発見したタンパク質でロイシン・ジッパー様構造や核移行シグナルを有している。RT-PCRによる組織分布検索では、精巣よりも白血球や肺、胎盤に多く存在し、MonadやMoBP1の分布様式とは異なっていた。また、ReptinやMoBP2を導入したり、ノックダウンした細胞を用いた検討により、これらはMonadやMoBP1とは逆に、細胞死を抑制する方向に制御している可能性が示唆されている。以上のように、Monadに関連した制御系が解明されつつあるが、これらの結果は遺伝子導入が容易な口腔領域の腫瘍に対して、抗腫瘍薬の作用を腫瘍細胞に限定して増強させ、治療効果を高める可能性がさらに強くなってきたと考えられる。
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J.Cellular Biochemistry 106
ページ: 920-928
J.Pharmacol.Sci. 110
ページ: 344-353