研究課題/領域番号 |
20390471
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上崎 善規 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40116017)
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研究分担者 |
和田 孝一郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (90263467)
佐伯 万騎男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (30273692)
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キーワード | アポトーシス / 口腔腫瘍 / Monad / R2TP複合体 / NEMO / ユビキチン化 / NF-・Ba |
研究概要 |
細胞死刺激を促進するタンパク質Monadは、我々が同定したMonad結合タンパク質(RPAP3、PIH1D1、Pontin、Reptinなど)とともに、酵母のR2TP/prefoldinに対応する複合体を形成していることを明らかとした。さらに、ドキソルビシン(Dox)によるDNA二本鎖切断に対する、これら各構成タンパク質の機能を中心に解析し、細胞死を制御する機序についても解明した。分子量34キロダルトンのMoBP2(PIH1ドメイン複合タンパク質1:PIH1D1)の遺伝子導入やRNA干渉による検討では、MonadやMoBP1(RPAP3)とは異なり、Doxによる細胞死刺激に対し、抑制的に働くこと、また、これらの複合体形成が各構成成分の安定性に関与していることを明らかにした。さらに、RPAP3には3種類のアイソフォームが存在し、この複合体形成に関与するものとしないものがあり、それぞれの細胞死に対する作用が異なる可能性が示唆された。また、培養腫瘍細胞株にも、RPAP3アイソフォームを発現するものとしないものが存在すること、さらに、アイソフォーム2を発現する細胞はDox処置に対して、易感受性を示し、抗腫瘍効果が増強される可能性を確認した。これは、口腔腫瘍についても、薬物治療の前に、その発現を確認すれば、その効果を事前に予測できる可能性を示すものである。 一方、NF-κB系は細胞を生存させる方向に作用する情報伝達系であるが、RPAP3はNEMO(IKKγ)に結合してそのユビキチン化を抑制すること、さらに、IKKを介してNF-κBの転写制御因子として機能が低下し、細胞死が促進されること、を明らかにした。つまり、計画時に予測していたMonad複合体のユビキチン化制御機序と細胞死の関係がNEMOを介して解明された。これらの細胞死誘導機序の解明は口腔領域の腫瘍に対して、これらキー・タンパク質の遺伝子導入・干渉により、抗腫瘍薬の作用を限定的に増強し、治療効果を高めるものと考えられる。
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