研究課題/領域番号 |
20390472
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中西 博 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20155774)
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研究分担者 |
武 洲 九州大学, 大学院・歯学研究院, 研究員 (10420598)
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キーワード | リン質リポソーム / アジュバント関節炎 / プロスタグランジンE2 / TGF-β1 / 破骨細胞 / RANKL / ICAM-1 / CD44 |
研究概要 |
計画の通りに、今年度の前半には、ラットのアジュバント関節炎(AA)に伴う骨吸収に対する末梢投与したリン質リポソーム(PSL)の影響in vivo解析を行った。まず、筋注したPSLはAAラットの末梢血中の単球ならびに骨髄腔のカルシトニンレセプター陽性破骨前駆細胞に取り込まれることを確認した。マクロCTを用いた解析により、PSLは関節炎に伴う骨吸収を検討した結果、PSLはAAラットの足関節組織における炎症にほとんど影響することなく骨破壊を強力に抑制した。さらに、PSL投与はAAラット足関節における破骨細胞の数を顕著に抑制し、血清中におけるプロスタグランジンE_2(PGE_2)ならびにTGF-β1の産生を有意に増加した。今年度の後半には、破骨細胞の形成系を用いてin vitroでの解析を行った。破骨細胞の形成系においてもPSLは破骨細胞前駆細胞に取り込まれ、破骨細胞への成熟を抑制することが明らかになった。さらに、PSLは破骨細胞分化・機能に非須な因子であるRANKLとそのレセプターRANKの発現を抑制すること、破骨細胞前駆細胞同士の融合に関連因子であるICAM-1ならびにCD44の発現を抑制することを明らかにした。さらに、PSLは破骨細胞前駆細胞からPGE_2ならびにTGF-β1の産生分泌を増加し、PGE_2ならびにTGF-β1は破骨細胞の分化を抑制することが明らかになった。これまでの結果から、PSLは破骨細胞前駆細胞などの細胞からPGE_2ならびにTGF-β1の産生分泌を促進することにより、破骨細胞前駆細胞の融合や分化に関連因子の発現を抑制し、破骨細胞への分化や成熟を抑制すると考えられる。
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