研究課題
我々はIRF-8が破骨細胞分化を抑制する極めて重要な因子であり、細菌成分であるLPSによって発症する炎症性骨破壊にも深く関係することを明らかにした(Nat Med 15:1066-1071, 2009に発表)。炎症性骨破壊の実験から得られた結果はToll-like receptor(TLR)という微生物の構成成分を認識する受容体群がIRF-8に依存した骨代謝調節機構に関与することを示唆している。そこでTLR3の人工リガンドであるpoly(I:C)を用いてIRF-8と骨代謝との関係を解析したところ、LPSとは異なりPoly(I:C)が破骨細胞分化を抑制することを見いだした。また、骨形成におけるIRF-8の機能を解析するため、骨形成誘導因子であるBMP-2を用いた骨形成誘導条件について詳細に検討したところ、TGF-betaというサイトカインがBMP-2による骨形成量を5倍に増加させることを見いだした(Tissue Eng Part A 17:597-606, 2011に発表)。さらに、BMP-2は活性型ビタミンDとともに破骨細胞分化誘導因子であるRANKLの発現を促進する一方、TGF-betaはBMP-2によるRANKL発現促進作用を抑制することを明らかにした(Cell Tissue Res 342:213-220, 2010に発表)。これらの解析結果から、IRF-8は骨恒常性維持のための必須因子であり、今後の炎症性骨疾患の原因解明やその治療方法の開発に大きく役立つことが期待される。また、本研究で新たに見いだされたTGF-betaによる骨形成促進作用は、骨欠損治療などを対象とした再生医療技術の開発に貢献すると思われる。
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http://www10.showa-u.ac.jp/~oralbio/publications.html