研究課題/領域番号 |
20390475
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
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研究分担者 |
岡本 富士雄 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60153938)
鍛治屋 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (80177378)
井上 隆司 福岡大学, 医学部, 教授 (30232573)
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キーワード | 破骨細胞分化 / Ca^<2+>オシレーション / RANKL / TRPV2 / TRPM7 / NFATc1 / PLC系 / store-operated Ca^<2+> entry |
研究概要 |
平成21年度研究において、破骨細胞分化に必須であるRANKL依存性Ca^<2+>オシレーション形成にはTRPV2を介するCa^<2+>流入が関与することが明らかとなった。平成22年度は、このCa^<2+>オシレーション形成機構と細胞内Ca^<2+>シグナル伝達系との連携について更に検討した。まず、主要なCa^<2+>シグナル伝達系であるPLCの阻害剤の投与、及び、store-operated Ca^<2+> entry (SOCE)を形成する機能分子であるStim1やOrai1をテトラサイクリン誘導性にsilencingすると、TRPV2電流の活性化とCa^<2+>オシレーション形成が抑制された。一方、TRPV2-silencing細胞では転写因子NFATc1の発現やその核内移行、及び最終的な破骨細胞への分化・誘導が抑制された。以上の結果より、TRPV2は破骨細胞分化を誘発するCa^<2+>オシレーションを構築する重要な機能分子であり、その活性化にはPLC系やSOCE機構が関与すると考えられた。また、本研究からTRPV2だけでなくTRPM7というTRP分子もRNKL依存性に発現が優位に上昇することが明らかとなった。このTRPM7は細胞内側にキナーゼ活性を有し、Ca^<2+>よりもMg^<2+>を主として輸送するユニークな分子であり、現在、TRPM7分子のコンディショナルKOマウスの作成にも取組んでおり、今後はその機能解析も進めていく予定である。 以上のように、破骨前駆細胞に発現するTRP分子というCa^<2+>輸送体の機能や役割を解明することは、破骨細胞の分化増殖機構を理解すると共に、TRP分子を標的とした異常骨吸収を制御する新規の薬剤や治療法の開発への基盤としても意義があると考えられる。
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