近年、小胞体ストレスは様々なコンフォメーショナル病との関与が明らかになっている。一方、がん疾患との関係については、がん特異的な小胞体ストレスシグナルは存在するのか?存在するとすれば何故正常細胞ががん化によりそのような特性を獲得したのか?果たして小胞体ストレスシグナルを標的としたがん治療は可能なのか?など、まだまだ解明すべき点は多く残されている。特に口腔がん領域において、小胞体ストレスとの関係を示す報告はほとんど無い。そこで本研究では、「口腔がんと小胞体ストレスは関係があるのか?」という点に絞って、小胞体ストレス応答(UPR)依存的な増殖シグナルと小胞体ストレス誘導性アポトーシスシグナルについて本研究で進めている。がん細胞において、小胞体ストレスマーカー(小胞体受容体IRE1・PERKの活性化抗体、その下流で発現誘導される小胞体シャペロンBipや転写因子CHOPの発現誘導)がどのように変動するかを検討した。その結果、がん細胞では小胞体ストレスに対して抵抗性を示し、さらに小胞体ストレス誘導性アポトーシスに対しても抵抗性を示すことが明らかとなった。
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