研究課題/領域番号 |
20390479
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
新垣 理恵子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00193061)
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研究分担者 |
石丸 直澄 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (60314879)
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キーワード | 自己免疫疾患 / 性差 / 性ホルモン / アポトーシス / 発現制御 |
研究概要 |
自己免疫疾患は免疫調節のバランスがくずれ、自己に対して免疫応答を引き起こしてしまう疾患である。このような自己免疫疾患の大きな特徴はその殆どが加齢に伴って発症し、閉経期以降の女性に優位に発症することである。自己免疫疾患における性ホルモンの影響という極めて重要な研究課題に対して、最も女性優位に発症するシェーグレン症候群を代表的疾患として位置づけ、女性ホルモンと自己免疫疾発症との関わりを解明することを目的とした。 マウスに卵巣摘出を実施してエストロジェン欠乏状態を誘導すると、顎下腺・涙腺組織でのアポトーシスの増大とともに主要組織適合抗原クラスII(MHCII)発現の上昇を認めた。このような異所性MHCII発現の上昇はアポトーシス誘導のタイムコースと一致して卵巣摘出3週間後をピークとし、その後は減少傾向がみられた。卵巣摘出により唾液腺に誘導されるアポトーシスとMHC class II抗原発現機序との関連を解析した結果、エストロゲン欠乏マウスの唾液腺にはB220を発現するplasmacytoid dendritic cell(pDC)の存在が確認され、さらにMHC classIIの発現が増強されていることが認められた。卵巣摘出マウス唾液腺組織から精製した樹状細胞はOVA特異的TCRを持つOTIIマウスのCD4+T細胞を抗原特異的に増殖させ、抗原提示能を有すること、さらに唾液腺上皮細胞にin vitroでアポトーシスを誘導し、卵巣摘出唾液腺組織から調製した樹状細胞と反応させるとIL-10などのサイトカイン産生が誘導されることを確認した。従ってエストロゲン欠乏による唾液腺組織ではシェーグレン症候群などの自己免疫疾患病態進展において、樹状細胞が重要な役割を担うことが示唆された。
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