研究課題/領域番号 |
20390481
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹野 高嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10125560)
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研究分担者 |
菅原 由美子 東北大学, 病院, 助教 (30235866)
庄司 憲明 東北大学, 病院, 講師 (70250800)
阪本 真弥 東北大学, 病院, 講師 (90157686)
飯久保 正弘 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (80302157)
佐藤 しづ子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60225274)
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キーワード | 歯痛 / 歯髄炎 / 交感神経 / hnRNA遺伝子発現 / 疼痛制御 / 三叉神経刺激 / HPA axis / Corticotropin releasing hormone |
研究概要 |
本課題は、歯髄炎における痛覚系-交感神経系のクロストークを証明し、新たな疼痛制御理論を確立することにある。平成20年度には、神経の順行性輸送を利用した神経回路標識法により直接的に交感神経を標識する方法を用い、実験的に作成した歯髄組織に確かに交感神経が発芽することを明らかとし公表した。しかしながら、発芽した交感神経が痛みをどのように修飾するかは明らかになっていない。その理由として、痛みを定量する確実な方法が存在しないことがあげられる。そこで平成21年度では、痛みの遺伝子マーカーとされているc-fos、神経ペプチドであるSubstance P(SP)およびCalcitonin gene-related peptide(CGRP)、神経栄養因子であるNerve growth Factor(NGF)とBrain-derived neurotrophic factor(BDNF)、さらにアロディニア関連分子であるLysophoshatidic acid(LPA)-1(LPA受容体)の遺伝子発現など、神経関連分子を指標として、舌に対するcapsaicin刺激が三叉神経節に及ぼす影響について多方面から検討した。 その結果、 1.三叉神経節c-fos遺伝子発現は、舌capsaicin刺激後30分から増加した。 2.三叉神経節SP(tac1)遺伝子発現は、舌capsaicin刺激後60分以内で増加しなかったが、CGRP遺伝子発現は、刺激後30分で増加した。 3.三叉神経節NGFおよびBDNF遺伝子発現は、共に舌capsaicin刺激後60分以内で増加しなかった。 4.三叉神経節LPA-1遺伝子発現は、舌capsaicin刺激後30分で増加した。また、P2X_4遺伝子発現は、舌の針刺とvehicle注入圧による刺激の60分後にコントロールの2.75倍に増加し、capsaicin注入群では60分後にコントロールの5.49倍に増加した。この時、capsaicin群とvehicle群に有意差がみられた。 以上より、c-Fosに加え、LPA-1やP2X_4は、急性痛のマーカーとなる可能性が示された。
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