研究概要 |
樹状細胞には成熟段階が異なる亜群が存在し、各々が自然あるいは獲得免疫応答成立過程で制御細胞としての役割を演じる。本研究は、根尖性歯周炎の病態機序への樹状細胞の関与についての申請者の研究成果発展を意図するものであり、光顕・電顕免疫組織化学により根尖性歯周炎病変部の樹状細胞亜群を免疫機能分子の発現状況や超微形態から識別し、各々の局在・密度を解析するとともに、toll-like receptors (TLRs)発現状況をも免疫組織化学的・分子生物学的に検索することにより、同疾患の進行過程に対する樹状細胞の関与の実態について自然および獲得免疫応答の両面から追究することを目的とする。 本年度は前年度に引き続き、ラット臼歯歯根膜における各種免疫機能分子(major histocompatibility complex(MHC)クラスII分子,CD86,CD83)およびToll-like receptor (TLR)2およびTLR4のmRNA発現をLaser capture microdissection及びリアルタイムPCR法で定量解析した.その結果,全ての検索対象遺伝子が、最も口腔環境に近接した部位である根分岐部で発現レベルが著明に高いことを見いだした。さらに、ラット臼歯を1日間露髄開放し,正常時、露髄開放後、および露髄・仮封後の分岐部歯根膜における上記mRNA発現を定量,比較したところ,各遺伝子とも開放1日経過後で有意に増加することを確認した。また、TLR2,TLR4陽性細胞を免疫組織化学的に研削したところ、両者とも露髄開放一日後に根分岐部の象牙質直下で増加を示した。
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