研究課題/領域番号 |
20390485
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
石井 信之 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20163610)
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研究分担者 |
高垣 裕子 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (60050689)
櫻井 孝 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (60277910)
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キーワード | 顎骨壊死 / ビスフォスフォネート / 薬剤反応性 |
研究概要 |
研究目的:ビスフォスフォネート(BPs)はハイドロキシアパタイトへの親和性と破骨細胞の機能抑制により骨吸収を抑制することが明らかにされているだけでなく、長期の経口投与により持続的な骨量増加の報告もあり骨形成促進作用が期待される薬剤である。しかし2002年にBPsと歯科治療により誘発される顎骨壊死(ONJ)が初めて報告されてからは、大きな社会問題となっている。そこでBPsと歯科治療によって誘発されるONJのメカニズム解明と治療法確立のために平成20年度は、ONJ誘発を期待できる根尖性歯周炎ラットモデルの作製に重点を置くと同時にその病変発症メカニズムの解析を組織学的に行った。 具体的内容:3週齢Wistar系ラット♂(n=20)に対してBPs(Alendoronate:フォサマック錠^[○!R])を選択し、2.5mg/kg、5.0mg/kgを絶食下にて経口投与を行った。ONJ誘導法として上顎第一臼歯咬合面を露髄させ、感染の誘導を行った後、3Wの経過観察の後、灌流固定し、顎骨を採取しEDTAにて脱灰し、パラフィン切片を作製後、組織学的解析を行った。なお、未処置群、BPs非投与群の組織をコントロールとして実験群と比較した。 結果:歯根部セメント質の外部吸収、歯根膜線維の変性、歯肉上皮の肥厚及び上皮脚の伸長が認められ、その延長は歯肉溝底部に及んでいた。また、歯槽骨頂部は炎症性細胞の集積、及び吸収が認められた。根尖周囲の歯槽骨には、骨吸収部位の破骨細胞は形態が不明瞭であった。歯槽骨内の血管と骨小腔が減少し、骨小腔内に存在する骨細脆が萎縮および欠損していた。 考察:本研究の結果よりBPs経口投与により、歯槽骨表層に存在する破骨細胞および骨芽細胞の分化抑制による骨代謝停止と骨髄内の抗血管新生効果による血液循環抑制によって骨細胞機能不全が誘導されていることが示唆された。
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