研究概要 |
【研究目的】ビスフォスフォネート製剤誘発顎骨壊死(BRONJ)は、辺縁性および根尖性歯周炎等の歯科疾患に関連して発症すると考えられていることから、骨粗鬆症モデルマウスを用いて経口投与BPsとONJ発症の関係を形態学的および細胞生物学的に解析しBRONJ発症メカニズムを明らかにすることを目的とした。 【方法】骨粗鬆症モデルマウス♀7~10週齢に対しBPs(Alendoronate)を選択し、経口投与を行った。BRONJ誘導法として上顎第一臼歯咬合面を露髄させ、実験的に根尖性歯周炎を誘導し2週間の経過観察後、顎骨を採取し形態学的解析として、マイクロCT解析と病理組織学的解析を行った。また、細胞生物学的にBRONJ発症メカニズムを解析するために、顎骨および脛骨を採取後、コラゲナーゼ連続処理とEDTA処理を組み合わせた分離法(Endocrinology, 137 : 2028, 1996.)により骨芽細胞の単離を行った。 【研究成果】病理組織学的解析;臼歯咬合面を露髄後2週間で根尖周囲歯槽骨には、形態が不明瞭な破骨細胞および、根尖孔周囲には多形核白血球を中心とした細胞の集積が見られた。さらに、歯槽骨内の血管と骨小腔が減少し、骨小腔内に存在する骨細胞が萎縮および欠損していた。マイクロCTにより歯槽骨を解析することにより、コントロール群の大腿骨では、OVXの影響と考えられる海綿骨における骨梁連結性の低下が起こり、BPs投与群では骨量の回復が見られた。また、根尖性歯周炎の病巣部位においては、OVX+BPsの群は、OVXの群に比べ、根尖相当部骨吸収面積の拡大が認められた。 細胞生物学的解析においては、定量RT-PCRにより顎骨から分離した骨芽細胞のRANKL発現が亢進していた。
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