研究概要 |
本研究では、骨増生を望む部位における骨形成を刺激して骨量を増大することにより、人工材料や他部位からの移植の必要なく、骨量増大を希望する部位のみで手術が完結するようにする、の二点を達成しつつインプラント術前骨増生を行うことを目標とした。 本年度は、昨年度検討した経皮的に注射可能なキャリアを用いて、in vitroおよび小動物における骨増生効果の検討とそのメカニズムの解析を行うことを目的とした。 平成21年度は以下の項目について実験を行った。 〈in vitroおよび小動物における骨増生効果の検討とそのメカニズムの解析〉 まずキャリア自身を培養した骨芽細胞に投与あるいはラット口腔粘膜下(傍骨膜)に注射し、以下の項目について為害性を検討した。 ・経時的細胞数の変化(MTTアッセイ)(培養実験)・細胞形態の変化(培養実験)・炎症細胞浸潤(ラット)。その結果、今回検討したPLGA系キャリアやコラーゲンーアパタイト系キャリアには為害作用がないことが明らかになった。そこで、種々の濃度のスタチンをキャリアに混入し、骨芽細胞培養系に投与、骨芽細胞の分化促進効果について検討したところ、オステオカルシン産生量や石灰化物形成量を刺激することが明らかになった。 また、ラット口腔粘膜にも同様に経粘膜的に注射し、骨増生効果について検討中である。我々の予備実験では、注射後2,4週間で骨増生効果が見られたため、さらに長期(具体的には8,16,24週)における骨増生効果や増生された骨の経時的変化について検討する予定である。
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