研究分担者 |
西 恭宏 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (10189251)
鎌下 祐次 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90224641)
川本 真一郎 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70295260)
村上 格 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (80264448)
水流 和徳 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (90274844)
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研究概要 |
誤嚥性肺炎などの原因とされる誤嚥を防止する観点から,無歯顎者の嚥下時の呼吸パターンを明らかにすることを目的とし,人工歯列を有する義歯の装着が嚥下時の呼吸にどのように影響を及ぼすかについて,呼吸計測に加えて筋活動(口輪筋・舌骨上筋群),喉頭運動,声門運動を同時計測して検討した. 被験者は無歯顎者12名とし,水5,10,20mlの自由嚥下,ゼリー10gと軟質クッキー4gの咀嚼自由嚥下を義歯装着時と非装着時において行い,呼吸パターン,嚥下時無呼吸(DA),DA持続時間(DDA),喉頭挙上とDA発現までの時間関係(T-DA)を評価した.嚥下関連筋の筋活動は,筋活動最大値(EMGmax)および,喉頭挙上とEMGmax発現の時間関係(T-EMGmax)を評価した. 義歯装着時の呼吸パターン発現率は,呼息・嚥下・呼息パターン約80%,吸息・嚥下・呼息パターン約14%の順に多く,呼息・嚥下・吸息パターンはわずかであったが,義歯非装着時の呼吸パターンは,義歯装着時と比べ,呼息・嚥下・呼息パターン(約70%)が少なく,義歯装着時には発現しなかった吸息・嚥下・吸息パターン(約5%)が認められ,嚥下後の呼吸が吸息で再開する呼吸パターンが多く,義歯装着時と非装着時では有意差を認めた. DDAは,嚥下前後で呼吸が同じパターンでは変化するパターンに比べ有意に短く,義歯非装着時は装着時に比べ,DDAが短い傾向があった.T-DAは,嚥下前後で呼吸が変化するパターンでは,同じパターンに比べ有意に早くDAが開始してから喉頭挙上が発現した.口輪筋のEMGmax発現は,義歯装着時は非装着時に比べ,有意に早かった.以上より,義歯非装着時には,装着時より嚥下後の呼吸が吸息で再開する呼吸パターンが多かったことから,義歯の不使用が誤嚥のリスクファクターとなりうる可能性が示唆された.
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