研究課題/領域番号 |
20390493
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
志賀 博 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (50226114)
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研究分担者 |
小林 義典 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (20095102)
荒川 一郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (00277592)
横山 正起 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (60312071)
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キーワード | 近赤外分光装置 / 咀嚼 / 脳血流 / グミゼリー |
研究概要 |
食品の性状における味、特に苦味の程度の違いが咀嚼時の脳血流と咬筋筋活動に及ぼす影響を明らかにする目的で、健常者20名(男性10名,女性10名)を選択した。被験食品は、教室で開発したグミゼリー(苦くない)を基準に、キニーネを0.016%添加したわずかに苦いグミゼリー、キニーネを0.032%添加した苦いグミゼリーの2種類を試作し、これらの3種類とした。実験は、3種類のグミゼリーを被験者にそれぞれ主咀嚼側で20秒間咀嚼させた時の咬筋筋活動を日本光電社製多用途計測装置RM6000R^[○!R]、また両側の脳血流を浜松ホトニクス社製近赤外分光装置NIR0200R^[○!R]を用いて記録した。分析は、はじめに咀嚼前(安静時)、咀嚼中(咀嚼開始10秒後)、咀嚼終了5分後の3セッションの各10秒間における両側の脳血流の平均値と両側の咬筋筋活動の積分値の平均値を算出した。次いで、脳血流の経時的変化を調べた後、咀嚼前と他の各セッションとの間で比較した。さらに、咬筋筋活動の積分値と脳血流について、咀嚼前と咀嚼中との変化量をそれぞれ算出し、被験食品間で比較した。その結果、脳血流は、いずれの被験食品でも咀嚼中に有意に増加し、咀嚼終了後に減少し、咀嚼前の状態に回復する傾向を示した。また、その変化量は、苦い被験食品咀嚼時が最も少なく、やや苦い被験食品咀嚼時、苦くない被験食品咀嚼時の順に多くなり、各2被験食品間にそれぞれ有意差が認められた。他方、咬筋筋活動の積分値の変化量は、各2被験食品間に有意差が認められず、被験食品間に一定の傾向を示さなかった。これらのことから、脳血流は、咀嚼運動によって増加すること、また食品の味、特に苦味の程度の違いは、脳血流の変化の大小に影響を及ぼすが、咀嚼筋筋活動に影響を及ぼさないことが示唆された。
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