研究課題
エレクトロスピニング法により得られる不織布を形成する繊維は通常内部が密であるが、連通したナノ気孔を有することで、薬剤やタンパク質担持機能の付与が期待でき、高機能化がはかれる。これまでに開発したPVH(PLA(ポリ乳酸)/Vaterite(バテライト)Hybrid)不織布の繊維内部はバテライト粒子が密につまった状態である。今回、PVH中のバテライトを薄いリン酸溶液で処理することにより、多孔質繊維からなる不織布の作製が可能であることを見出した。さらに、細胞親和性に優れるアパタイト(HA)を、気孔内に生成させため、擬似体液に7日間浸漬したところ、繊維断面にHAと考えられる花弁状の物質がみられた。繊維内部に残存するバテライト表面にはリン酸カルシウム層が形成され、HAの生成を誘起したと考えられる。さらにP-Vの溶解とともにCa^<2+>イオン濃度が上昇し、かつ擬似体液からもCa^<2+>、HPO_4^<2->イオンが供給され、HAが成長したと考えられる。昨年度開発したCa,Siを溶出する不織布を用いて骨再生誘導(GBR)膜とすることを考え、強度を確保するためにPLA単体膜との二層膜構造を部分プレスして作製することに成功した。得られた二層膜は、多孔性を維持した部分と繊維が密となった部分との両方をもつ形状であった。7日間MC3T3-E1細胞を培養したところ、繊維が粗な部分においては細胞が内部まで進入している様子が見られ、密な部分の周辺では比較的多量の細胞が表面に接着しているのが見られた。動物実験結果より、開発膜層内部で旺盛な骨形成が見られた。骨形成にSr^<2+>イオンも有効である可能性があるため、SrとSiを含有するバテライトを作製し、これとPLAを複合した材料も作製した。これについては細胞培養による生体親和性評価を進めているところである。
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