研究課題/領域番号 |
20390502
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
河合 達志 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60167351)
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研究分担者 |
鶴田 昌三 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (40183488)
林 達秀 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70367621)
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キーワード | 生体材料 / 生物・生体工学 / 再生医療 / 光造形 / バイオテクノロジー |
研究概要 |
昨年度にスキャフォールド材料の大幅な変更を行い、レジン系スキャフォールドの残留モノマーの影響を排除可能なシステムに変更した。すなわち3次元スキャフォールド作製システムを積層焼結型の造形法(SLS)に変更し、再度実験を開始した。その結果、3Dモデリングにより望む形状のスキャフォールドの作製は可能となった。また、顎骨模型からX線CTにより得られたSTLデータから望む形状の3D構造体を作製することも可能となり、試験的に歯科の義歯床に相当する部分の作製を行い、通常の技工作製物と同等の形状を有する3Dレジン造形物を得られることを確認した。また、積層焼結型造形法の素材レジンの生体安全性試験をISO10993-5に準じて検索した結果、コントロール試料と同等の安全性が確認された。これら一連の結果を受けて、移植用の円筒形のスキャフォールドを設計し、これにBMPを複合化し、DDYマウスに大腿部筋膜間空隙に移植した。その結果、移植3週間後に移植全例において新生骨誘導が生じることを確認した。ただし、新生骨誘導は円筒形内部にまでは生じておらず、この原因は既に昨年度発見したとおりスキャフォールドのごく表面にのみBMPなど組織誘導性cytokineを複合化しなければ、円筒形の内部に新生骨が形成されないことの裏付けとなった。このため、スキャフォールドの表面処理を行い、スキャフォールド細孔の表面にのみBMPを吸着する技術の開発が直近の大きな課題となることが示唆された。現在、さらに実験動物の骨欠損部分にBMP複合スキャフォールドを移植する実験も継続しており、本年度得られた成果は当初の研究目的をほぼ充足したと考える。本研究の実績からさらにプラズマ表面処理の導入あるいは低粘性の多糖類キャリアーの使用等が不可欠であることも判明しており、今後の研究においてきわめて重要なデータの蓄積を行なうことができた。
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