研究概要 |
1. 薄膜およびメンブレンと積層インプラントの作製 動物骨由来アパタイト粉末を用い,これをターゲットとしてパルスレーザ堆積法(PLD)法により板状のNaCl基材上に天然アパタイト(NAp)膜を成膜し、その後純水に浸漬してNaClを溶解させ、NAp膜のみを単離し、1cm□の可撓性NApGBRメンブレンを作製することができた。また、フォトリソグラフィ用のレジスト剤を石英平板にコーティングし、そのうえにハイドロキシアパタイト(HAp)膜を作製したのちに、レジスト剤を溶解させることで最大2.5cm□のHApGBRメンブレンの作製に成功した。 NApとして動物骨由来のアパタイト粉末を、またHApには化学量論的アパタイト粉末をターゲットとし、PLD法によってチタンインプラント表面にHAp薄膜を成膜し、続いてNAp薄膜を成膜することにより、これまでにない機能性2層積層構造インプラントを作製することができた。 2. 薄膜および積層膜の評価 引張試験法により調べた薄膜の固着力はTi基板上で90MPa以上と、実用化に十分な特性を示した。また、得られた薄膜の組成をエネルギー分散型X線分析法(EDX)で調べ、微量元素の存在も含めて、目的に近い組成の薄膜を得ることに成功した。生物学的評価として、チタンにコーティングしたNAp薄膜上で骨芽細胞を培養した結果、Tiに比べて3倍程度の増殖を示した。また、2層積層構造インプラントのビーグル犬を用いた動物実験結果において、埋入後4,8,24週を被覆なしのチタンインプラントと比較した結果、2層積層構造インプラントの優れた生体親和性を確認した。さらに、犬の大腿骨部にアパタイトGBRメンブレンを用いた骨組誘導再生の実験を開始した。
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