研究概要 |
1)NApGBRメンブレン 生体アパタイト(NAp)をコーティングする、NaCl単結晶の形状を制御することにより、板状、チューブ状、ドーム状のNApシートの作製に成功するとともに、フォトレジストをシェルとすることにより、任意の形状のNApシェルメンブレンの作製にも成功した。得られたNApシェルメンブレンを用いて動物実験を行った。ビーグル犬の大腿骨に直径4mm、深さ10mmの骨欠損を形成し、NApGBRメンブレンを骨欠損上面に固定し、術後1,3,5週における骨再生状態をマイクロCTにより観察した。現在1週の結果のみが得られており、骨再生を観測できた。 2)2層コーティング積層インプラント 市販のチタンインプラント上に化学量論的ハイロドキシアパタイト(HAp)やNAp、およびNAp/HApの2層をコーティングし、コーティングのないインプラントとともに動物実験を行った。ビーグル犬の大腿骨にこれらインプラントを埋入し、埋入後2,4、8、24週で取り出し、埋入後の新生骨の形成および伝導能を,血管・骨同時鋳型標本の走査電子顕微鏡(以下SEM)観察および非脱灰研磨標本のトルイジンブルー(TB)染色で観察することにより、病理組織学的評価を行うとともに、マイクロCTによる放射線的評価も行った。その結果、実験期間4週では、HAp、NAp、2層コーティングは、対照と比較してインプラント体周囲に新生骨が形成されていた。特に、皮質骨より骨髄部での骨形成に差が顕著であった。8週では、インプラント周囲には新生骨形成像が認められたが、4週にみられた両者の骨形成の差異はなかった。なお、2層コーティングでは,新生骨表面にはリモデリングが開始している像が認められた。
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