研究課題/領域番号 |
20390512
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高木 律男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20143795)
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研究分担者 |
加藤 真吾 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10177446)
田邊 嘉也 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40444161)
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10242439)
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キーワード | HIV / 唾液 / 定量 / 検査 |
研究概要 |
研究計画の概要目的:HIV感染者の唾液検査による治療効果および感染性判定法の確立 構想:(1)血液中と唾液中のHIV・RNA量の相関(2)HIV感染者唾液の感染性と唾液中のウイルス分解レベルの関連(3)HAART療法患者の血漿中と唾液中薬剤濃度の相関以上の3項目について検証する。 研究の進捗状況本研究は3年計画で行う。平成20年度は(1)血液中と唾液中のウィルス量の相関について解析し、平成21年度は(1)に加え(2)HIV感染者唾液の感染性について研究を行った。 平成22年度は主に唾液中ウイルスの感染性について更なる研究を行い、新しい評価法の開発に繋がった。 感染性の評価はプロウイルスの割合、ウイルス量や培養検査にて行われてきた。平成21年度の研究にて唾液のプロウイルス量は非常に低い割合であることが解析された。これにより、唾液は感染細胞を介しての感染の可能性は低い事が示唆される。しかし、唾液中にはプロウイルスの他に多くの遊離ウイルスが存在し、遊離ウイルスの感染力を評価しない限り唾液は低感染性とは言い切れない。平成22年度は、唾液中の遊離ウイルスのウイルス完全性を分析した。唾液中と血漿中のHIV-1のRNA鎖の長さを比べることにより、ウイルスの完全性の評価を行った。HIV-1RNA鎖の評価法は、逆転写を行った後のウイルス核酸に異なる5か所のプライマーを用いてreal-time PCRを行う。完全性の高い遊離ウイルスはPCRにて長いcDNAが多く合成され、完全性の低い遊離ウイルスでは短いcDNAが多く合成される。この方法を用いることにより、唾液のみならず他の体液でも感染力を分析することができる。我々が開発した新しい感染性の評価法は平成22年11月の日本エイズ学会にて発表を行っている。1名の感染者の唾液と血漿中の完全性を比較したところ、唾液中遊離ウイルスは血漿と比べ短いcDNAが多く合成された。以上の事から、唾液は低感染性であることが考えられる。今後は、より多くの被験者での解析が必要となる。
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