研究概要 |
【背景】 血管新生は癌の増殖、浸潤、転移の課程において必要不可欠なステップであり、近年では血管新生阻害が癌治療の新たな戦略として広く使われ、様々な血管新生阻害剤が開発され臨床に応用されている。angiogeninは癌の進展過程において、腫瘍血管新生のみならず癌細胞の増殖に重要な役割を果たしている。最近、血管新生と破骨細胞性骨吸収との関連性が報告されていが,昨年度の本研究課題にて,angiogeninをsiRNAにてノックダウンさせたヒト扁平上皮癌細胞を用いてマウス骨髄腔内注入法による癌骨破壊動物実験モデルにて明らかに骨破壊病変を抑制していた。本年度はその機序の解明として下記の検討を行った。 1. angiogeninによる破骨細胞性骨吸収活性に対する影響 マウス骨髄細胞細胞をビタミンD3存在下で培養し誘導した破骨細胞形成系においては濃度的に破骨細胞形成を促進した。この結果は動物実験の内容と整合性があると考えらる。 2. ヒト口腔扁平上癌細胞のangiogenin発現のノックダウンにおける遺伝子発現プロファイリング解析(RT2 Profiler PCR Arrays) Angiogeninのknock downによって,破骨細胞性骨吸収と関連する血管新生因子であるVEGFや破骨細胞性骨吸収活性因子であるIL-1,MMP阻害剤であるTIMP2の遺伝子群は抑制されており,angiogeninの抑制により骨吸収抑制に作用する可能性が明らかとなった。一方で,CXCR4などのケモカインは促進していた。現在,追加の遺伝子プロファイルの検討とオリゴヌクレオチドによる影響に関して検討を行っている。
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