研究課題
多くの癌に対して癌ペプチドを用いた特異的免疫療法が試みられているが、癌に対する免疫監視機構やその調飾機構は十分に理解されておらず、多くの問題が残されている。本研究では、口腔癌に対する免疫監視機構および口腔癌による免疫監視機構の調節機能を十分に理解し、その上で有効なオーダーメイド免疫療法と早期診断法の開発を目指している。本年度は以下のような研究を行った。口腔扁平上皮癌細胞に対する免疫監視機構の解析口腔扁平上皮癌患者(N=35)から採取した末梢血単核球(PBMC)から13種類の腫瘍抗原ペプチドをふりかけて培養し、抗原特異的CD8陽性細胞の活性を検索した。その結果、免疫化学組織染色においてCD8陽性細胞の活性化と免疫反応に正の相関を認めた。さらに60%(21/35例)の患者から採取したCD8陽性細胞で少なくとも1種類の抗原ペプチドが検出された。抗原ペプチドの検出率で高かったのは、SART-1_<690>が25.7%(9/35例)、SART-2_<93>およびART4_<75>が20,0%(7/35例)であった。SART-1_<690>に活性が強かった9例の患者では、地の26例の患者と比較して、多くの他の抗原ペプチドを検出した。さらにその中の7例の患者では、SART-1_<690>に活性がない16例の患者と比較して、免疫化学組織染色における細胞性反応が有意に強く、CD3陽性T細胞数も多かった。これらの結果より、SART-1_<690>、SART-2_<93>、およびART4_<75>は、癌ペプチドを用いた特異的免疫療法の候補ペプチドとして、今後の臨床応用が十分に期待される。
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Cancer Letter
巻: (In press)
10.1016/j.canIet.2012.02.016
Int. J. Oncol
巻: 39 ページ: 1391-9
DOI:10.3892/ijo.2011.1151