研究課題/領域番号 |
20390519
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
時野 隆至 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40202197)
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研究分担者 |
平塚 博義 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50165180)
荻 和弘 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40433114)
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キーワード | 癌 / 歯学 / トランスレーショナルリサーチ / 細胞周期 / CHFR / 微小管阻害剤 / PARP-1 / PARP-1阻害剤 |
研究概要 |
CHFRタンパクはE3ユビキチンリガーゼ活性を持つことが分かっているが、その機能の詳細は不明な点が多い。本研究ではCHFRの機能および制御機構の解明を目的とし、CHFR結合分子の探索を行った。 1.ポリ(ADP-リボシル)化(PAR化)酵素であるPARP-1タンパクを新規CHFR結合分子として同定した。CHFRとPARP-1がin vitroおよびin vivoで結合することを確認した。CHFRはPARP-1をポリユビキチン化し、一方、PARP-1はCHFRをPAR化することを見出した。次に、CHFR/PARP-1の結合はPARP-1の酵素活性により制御されていることを明らかにした。 2.CHFRが微小管阻害剤に応答して活性化されるチェックポイントであることから、細胞周期M期に焦点を当て、さらなる機能解析を行った。その結果、微小管阻害剤に応答して、PARP-1はCHFR依存的に自己PAR化、さらにポリユビキチン化され、その結果、PARP-1タンパク分解が促進されることを明らかにした。 3.さらに、このPARP-1タンパク量の減少が、細胞周期進行の抑制を誘導することが分かった。すなわち、微小管ストレスに応答してPARP-1の自己PAR化が促進され、その修飾されたPARP-1にCHFRが結合する。CHFRはPARP-1をポリユビキチン化、タンパク分解することによりM期チェックポイントとして機能しているという新規分子メカニズムを解明した。 4.以上のCHFR機能解析から、M期チェックポイントがPARP阻害剤により抑制されることが予測できる。したがって、タキサン系抗癌剤抵抗性を示す口腔癌細胞において、PARP阻害剤との併用によりCHFR依存的な抗癌剤抵抗性を改善できる可能性の検討を行った。その結果、タキサン系抗癌剤/PARP阻害剤の相乗効果による抗癌剤抵抗性改善がみられ、新規治療法の可能性が示唆された。
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