本研究を含む研究の全体構想は、コミュニケーションの基盤となる音声言語の生物学的解明を目指すことであり、その端緒として本研究は口唇口蓋裂(CLP)をモデルとして音声言語の生成、障害および可塑性のメカニズムを解明することを目的とした。研究成果としては、1)構音運動の末梢性メカニズムを解析するための磁気共鳴画像法(MRI)を利用した動画法を新たに開発した、2)構音障害を有するCLP患者において、MRI動画により末梢構音器官運動を、機能的磁気共鳴画像法(functional MRI : fMRI)により脳賦活パタンを解析し、その相関を見いだした、2)硬組織が描出できないMRIの弱点を克服し、動画に応用可能な歯の描出法を開発した、3)構音器官としての舌の感覚情報の大脳皮質投射パタンが咀嚼の習慣的な側性に依存することを見いだした、4)健常者における声門破裂音聴取時の聴覚連合野賦活パタンは正常単語聴取時のそれと異なることを示した。
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