研究課題
平成21年度の研究では、MMP-20による分解速度および経時的な分解様相について、変異アメロゲニンと正常アメロゲニンとを比較検討するとともに、それぞれの分解産物のハイドロキシアパタイト結晶成長への影響を明らかにすることを目的とした。1) MMP-20によるアメロゲニン分解速度および経時的な分解様相の検討リコンビナントヒトMMP-20(active rHMMP-20)を精製後、リフォールディングを行い活性化したところ、カゼインザイモグラフィーにより蛋白分解が確認された。蛍光マイクロプレートリーダーを用いてactive rHMMP-20によるアメロゲニンの分解速度の検討を行ったところ、変異アメロゲニンでは分解速度が低下することが明らかとなった。2) MMP-20によるアメロゲニン分解産物のハイドロキシアパタイト結晶成長への影響の検討質量分析装置によりactive rHMMP-20により生じたアメロゲニン断片を検討したところ、経時的に分解が進行し、多数の小断片が生じることが明らかとなった。しかし、正常アメロゲニンと変異アメロゲニンとの分解断片の明確な相違は認められなかった。また、ハイドロキシアパタイト成長モデルによる検討では、分解断片からはアパタイト結晶の誘導は確認されなかった。以上の検討により、ヒトリコンビナントMMP-20によるヒトリコンビナントアメロゲニンの分解様相が明らかにされるとともに、アメロゲニンの変異がMMP-20による分解速度に影響を与えることが明らかとなり、エナメル質形成不全症の発症の原因と成りうることが示唆された。
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Cells Tissues Organs 189(1-4)
ページ: 203-64