研究課題
本年度は、不活性型MMP-20への相互作用について、変異アメロゲニンと正常アメロゲニンとを比較検討した。また、MMP-20によるアメロゲニン分解過程を含むハイドロキシアパタイト結晶成長モデルの作製を試みた。さらに、生体におけるアメロゲニンの硬組織形成への様々な影響を検討するため、硬組織形成細胞への生理活性およびシグナリング機構への影響も検討した。実験1では、アミノ酸配列の相違により、MMP-20によるアメロゲニンの分解が変化する機構の検討を行った。アメロゲニンとの結合能は有しているが、分解活性を持たない不活性型MMP-20を作製し、これを用いて、正常および変異アメロゲニンとの結合を比較検討したところ、不活性型MMP-20と結合する変異アメロゲニンの結合は、正常型と比較性して低い値を示した。実験2では、MMP-20によるアメロゲニン分解過程を含む新規ハイドロキシアパタイト結晶成長モデルの創製とこれを用いた検討を行った。アメロゲニンによるハイドロキシアパタイト結晶成長の誘導を行い、MMP-20によるアメロゲニン分解を行った後に、再度結晶成長の誘導を行ったところ、付加的なハイドロキシアパタイト結晶の誘導が認められた。さらに、硬組織形成細鞄である骨芽細胞分化やセメント芽細胞の基質産生能への正常型アメロゲニンによる促進効果が明らかとなった。これらの結果から、変異アメロゲニンでは、MMP-20との結合性が低下することで、正常型に比較して分解されにくくなると考えられた。また、エナメル質形成過程において、MMP-20によるアメロゲニンの分解が、ハイドロキシアパタイト結晶成長に重要な役割を果たすことが示唆された。さらに、正常型アメロゲニンは硬組織形成細胞の代謝にも生理活性を及ぼすことが示され、アメロゲニンの硬組織形成に関する広範な役割が明らかとなった。
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J Periodontol.
巻: (in press)
Cell Tissue Res.
巻: 342(2) ページ: 205-12