研究課題/領域番号 |
20390523
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
丹根 一夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30159032)
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研究分担者 |
谷本 幸太郎 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20322240)
田中 伸明 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90397969)
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キーワード | Superficial zone protein / 下顎頭 / 軟骨 / 成長因子 / サイトカイン |
研究概要 |
下顎頭軟骨は、組織学的には細胞形態や線維走行により表層から線維層、軟骨層そして骨層に分けられ、それぞれが異なる機能を持って、様々な下顎運動により生じる機械的刺激に応答している。表層はサイトカインなどの様々な外的因子を防御するとともに、摩擦やせん断応力に対応している。近年、四肢の関節軟骨表層に高い潤滑作用を有するSuperficial zone protein ( SZP )の存在が明らかになった。しかしながら、線維性軟骨で構成される下顎頭軟骨におけるSZPの発現とその調節機構については不明である。本研究では、ブタ下顎頭におけるSZP発現および調節因子として成長因子ならびにサイトカインの影響について検討を行った。 (1)下顎頭におけるSZP発現の検討 SZP抗体を用いて、ブタ下顎頭の免疫組織化学染色を行った結果、表層の線維層において高度に検出された。また、ブタ下顎頭の表層、中間層、深層の各層から採取した細胞におけるSZP遺伝子発現は、中間層、深層と比較して〜500μmまでの表層において有意に高かった。 (2)成長因子およびサイトカインが顎関節由来培養線維軟骨細胞のSZP発現に及ぼす影響 SZP遺伝子発現は、TGF-β1とbFGF添加により顕著に増加し、IL-1βとTNF-αにより有意に減少することが明らかになった。中でも、その効果はTGF-β1ならびにIL-1β添加が最も強く、タンパク発現においても、同様の結果が得られた。 以上のことより、顎関節軟骨表層においてSZPの局在が認められ、その発現レベルは成長因子やサイトカインにより選択的に制御されることが明らかとなった。
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