研究課題/領域番号 |
20390524
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
宮脇 正一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80295807)
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研究分担者 |
大牟禮 治人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00404484)
坂口 勝義 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (80381185)
坪内 博仁 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60145480)
植田 紘貴 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10583445)
永山 邦宏 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60583458)
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キーワード | ブラキシズム / GERD / 酸 / クリアランス / 骨格性下顎前突症 |
研究概要 |
本研究では、一般集団や骨格性下顎前突症患者らを被験者として用いて、「良好な咬合は、睡眠時に唾液の流出率などを増加させて口腔咽頭食道内の酸のクリアランスを高めることにより、酸関連上部消化器疾患の発症を抑制する」という新たな仮説を検証することを目的とした。 本研究の結果、1)健康な成人男性14名を対象として咀嚼と消化管運動の関連を検討したところ、咀嚼を行うと自律神経機能を介して、初期の胃排出が抑制されることが初めてわかり、咀嚼が食物を粉砕だけでなく、食物の一定の貯留や一定速度での排出などの胃の生理的機能に関与している可能性があることが示唆された。2)ブラキシズム患者7名を対象に内視鏡検査や質問紙調査を行い、消化器症状や上部消化管の内視鏡所見について評価を行ったところ、睡眠時ブラキシズム患者では胃食道逆流がある者が多いが、症状は比較的軽度であることがわかった。3)手術適応の骨格性下顎前突症患者20名を対象にGERD症状や咬合力、咬合接触面積と安静時の唾液流出率を計測し、正常咬合者との比較を行ったところ、骨格性下顎前突症患者はGERD症状が有意に多く、咬合力は有意に弱く、咬合接触面積は有意に狭かった。このことから、骨格性下顎前突症患者では咬合機能が低下しており、上部消化器症状が多いことが示唆された。4)健康な成人男性12名を対象に食道内に人為的に化学的刺激(酸性刺激)を加える介入試験を行ったところ、食道内への化学的刺激(酸刺激)が睡眠時ブラキシズムを引き起こすことを初めて明らかにした。 以上から良好な咬合は、睡眠時に唾液の流出率などを増加させて口腔咽頭食道内の酸のクリアランスを高めることにより、酸関連上部消化器疾患の発症を抑制するだけでなく、食道内に対する化学的刺激を和らげることで、ブラキシズムの根本療法が可能となる可能性が示唆された。
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