研究課題/領域番号 |
20390528
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
天野 敦雄 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50193024)
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研究分担者 |
河合 伸治 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (40362678)
古田 信道 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (50452446)
加藤 隆大 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 招へい研究員 (20423139)
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キーワード | 歯学 / 細菌 / 感染症 / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
研究概要 |
本年度は研究計画に沿った進捗が得られ良好な成果を残せた。 P. gingivalisの細胞侵入に関与する宿主因子を、本菌の接着・侵入に伴ってラフトに集積してくる分子を同定した。菌感染前後の感染細胞からラフト画分を精製し、まず既知のタンパク質について検証したところ、本菌の受容体であるインテグリン、アクチン制御因子でラフトとの関連が示唆されていてかつ本菌侵入に必要な種々の分子の存在が確認された。さらに、これら分子のノックアウト、ノックダウン変異体あるいは阻害剤を用いて、細菌侵入への関与を検討した。その結果、small-GTPaseのRacl、phosphatidylinositol3-kinase, dynamin、clathrinなどの他、アクチンの再構築やエンドサイトーシスに関わる既知のタンパク質の細菌侵入への関与が示された。 現在、これら分子が感染によって非ラフト画分からラフト画分に移行するか否かの検証を行っている。その結果、移行しているタンパク質を確認出来れば、薬剤でラフト破壊し、その移行が起こらない事を確認する。さらに、菌感染により同定されたタンパク質の発現に影響を受けるかをリアルタイムPCR解析システムを用いて確認する。 P. gingivalisの細胞内挙動を規定する細胞マシナリーの同定と解析も行った。その結果、細胞内P. gingivalisの包む巨大なオートファゴソームの形成が顕著であり、オートファジー機構が本菌の細胞内挙動に重要な役割を果たしていることが示された。メンブレントラフィックの制御因子であるRabタンパク質が隔離膜同士の融合に関与している可能性を示すデータも得られている。またSNARE等膜融合に関わるタンパク質のどれが菌特異的オートファゴソーム形成に関わるかの網羅的検索も進んでいる。
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